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2021-12-15

【掲載情報】聯合文學(台湾の文芸誌) 2021年12月号

聯合文學 は台湾の文芸誌で、今月号は「令和の日本文学」特集。

台湾出身の芥川賞作家、李琴峰さんのインタビューや村上春樹ライブラリーの記事がある誌面の中、日本の書店員、編集者、作家7名が「今読んでほしい3冊」を紹介するコーナーに、本屋プラグ嶋田も7名のうちの1人として参加させていただきました。表紙にも名前が載っています。

紹介したのは『テスカトリポカ』『氷柱の声』『かしこくて勇気ある子ども』

『テスカトリポカ』
Netflixのドラマ『イカゲーム』が資本主義社会の残酷さを戯画化した寓話であるのに対して、『テスカトリポカ』は寓話的な残酷さで機能する資本主義社会をリアルに描く。グローバルに展開されるドラッグ・ビジネスや臓器売買を巡る暴力の物語は、リアルと戯画の境界を破壊する。

『氷柱の声』
2011年の東日本大震災を被災地で経験しながら、自身は大きな被害を受けなかった著者。被災者と呼ばれることへの葛藤を元に綴られた、震災から10年間の物語は、”当事者”と”非当事者”によって分断される社会を、その狭間に生きる様々な人々の人生を見つめることによって結び直していく。

『かしこくて勇気ある子ども』
個人の知性や勇気が、この世界に蔓延る差別や暴力を打ち破る様を思い描くことは易しくない。それでも、淡い色彩の色鉛筆で描かれたこの漫画は、出産を控えた夫婦が、生まれてくる娘の未来に希望を想像しようとする姿を通して、私たちに再び、知性や勇気を信じる力を与えてくれる。

台湾の“文青”たちに面白そうと思ってもらえていたらいいなぁ。

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